RAG (検索拡張生成) とは何か?生成AIの信頼性を高める技術解説

RAG (検索拡張生成) とは何か?生成AIの信頼性を高める技術解説

目次

生成AIは今も進化し続けていて、多くの関連した技術があります。
そんな中でも、今後さらに重要度が増していくのがRAGです。

RAGとは、Retrieval-Augmented Generationの略称です。
日本語では、検索拡張生成と呼ばれています。

仕組みとして実装するには、技術的なスキルや知識が必要です。
ただ、当記事では専門知識がなくても理解しやすいように、かみ砕いて解説しています。

全体像を理解できれば、誰もが利用できる技術だとわかってもらえるはずです。

どのようにRAGと生成AIが関わっているのか、詳しく見てみませんか?

RAG (検索拡張生成) とは?

RAGとは、生成AI(LLM)に外部データを組み合わせて回答精度を高める手法です。
Retrieval-Augmented Generation(検索拡張生成)を略して、RAGと呼びます。

通常のLLMは学習データの知識しか持たず、新しい情報や機密情報は利用できません。
しかしRAGを導入することで、最新情報や独自データを参照して回答が可能になります。

RAGの簡単な流れ

  1. ユーザーが質問する
  2. 検索(Retrieval):外部データベースから関連情報を検索
  3. 生成(Generation):検索結果をLLMに渡して回答を生成

これにより、AIが「忘れた情報」や「知らない情報」も参照でき、回答の正確性と信頼性が大幅に向上します。

ちなみに、なぜAIが情報を忘れてしまうのか興味がありませんか?
以下の記事で、情報を忘れてしまう理由を説明しています。

RAGの定義(広義・狭義)

RAGと一言でいっても、広い意味・狭い意味での定義があります。

一般的に知られているのは、専門性の高い狭義のRAGです。
しかし、わかりやすくお伝えするために、当記事では広義のRAGもあわせて紹介します。

広義のRAG(専門性:低)

広義のRAGは、専門性の高い技術だけではなく、より広範な領域をカバーします。

このように定義することで、誰もが簡単に利用できる技術だと理解しやすくなります。
あなた自身も、チャットGPTを利用してRAGを体験できるでしょう。

意味

「生成AIが事前学習だけでなく、外部情報を取り込み、それを参照しながら応答を生成する手法」の総称。

特徴

  • 外部情報の取り込み方法は問わない(ファイル添付、API経由、直接テキスト貼り付けなど)。
  • 検索工程が必ずしも必要ではなく、「情報を読み込ませるだけ」でも成立する。

  • ChatGPTにPDFをアップロードして要約を依頼
  • CSVファイルを読み込ませてグラフを生成
  • Webページの文章をコピーして貼り付け、それを基に記事を執筆

ファイル添付の場合は、そのファイル全体が「外部知識ソース」として一度にモデルに渡されるため、検索工程がシンプルになります。

狭義のRAG(専門性:高)

狭義のRAGは、より技術的で専門的な分野にフォーカスしています。
扱うためにはスキルが必要ですが、非常に強力な仕組みです。

システムを設計する技術者の場合は、こちらの定義がしっくりくるでしょう。

意味

「Retrieval-Augmented Generation」という技術アーキテクチャの正式形。

外部の検索システム(特にベクトルDB)で関連情報を取得 → LLMに渡して応答生成という一連の仕組み。

特徴

  • 外部知識の検索工程が必須
  • 高度なシステム設計が必要(検索API、埋め込み生成、インデックス管理など)
  • 大量データや動的情報に強い

  • カスタマーサポートAIが過去のFAQやマニュアルをベクトル検索し、最適な回答を組み立てる
  • 企業内検索システム(社内文書や議事録を自動参照)
  • 医療AIが論文データベースから最新知見を引き出して診断補助

広義と狭義の違い(比較表)

項目 広義のRAG 狭義のRAG
定義 外部情報を参照して生成する全般 検索工程+生成を組み合わせた正式アーキテクチャ
情報の取得方法 ファイル添付、テキスト入力、簡易APIなど自由 ベクトルDB、全文検索、APIで関連部分のみ取得
必要な技術 ほぼ不要(LLMが使える環境さえあればOK) 検索・埋め込み・インデックスなど高度な実装
適用範囲 小規模・単発の情報利用 大規模・動的・継続的な情報利用
活用者層 一般ユーザーも簡単に活用可 主にエンジニアやシステム設計者
代表例 ChatGPTへのファイルアップロード 社内検索AI、FAQボット、論文検索AI

RAGの定義まとめ

  • 広義のRAG:手軽・シンプル。
    外部情報をそのままAIに読ませる。非技術者もすぐ使える。
  • 狭義のRAG:本格的・スケーラブル。
    外部検索+生成を組み合わせるため、専門知識が必要。

なぜRAGが必要なのか?【5つの理由】

RAGは、今後の生成AIの運用において必須といえるくらい重要です。

では、なぜRAGが必要なのか?
その5つの理由を、シンプルにわかりやすく紹介します。

【1】最新情報の反映

LLMは訓練時点までの知識しか持ちません。
最新情報は、外部ソースから取り入れる必要があります。

外部のデータを参照できれば、訓練後に出た情報(法改正、製品仕様、社内資料など)も利用可能です。

【2】社内や個人の独自データ活用

社内マニュアル、契約書、技術仕様書など、固有文書を参照して“独自のリソース”で回答できるようになります。

その結果、情報のブレが少なくなり、より正確な情報を生成できます。

【3】ハルシネーション対策

生成した情報の参照元を示すことで、回答の根拠を提示できます。
たとえば、社内の情報源や、出典元を明記することもできるでしょう。

情報のソースが明確になることで、ユーザーの信頼も得やすくなります。

【4】セキュリティとデータコントロール

センシティブな情報をモデルの事前学習に混ぜず、必要時にのみ参照できるため情報管理がしやすいです。

特に機密情報や個人情報などは、保存する場所を切り分けることが重要です。
そのような場合にも、セキュリティ強度を保った運用が可能になるでしょう。

【5】コスト効率

生成AIを運用するうえで、モデルの学習には一定のコストがかかります。
モデル全体を何度も学習しなおすのは、やや非効率だといえるでしょう。

RAGを活用することで、必要な情報を都度データベースから引き出せるようになります。

その結果、全データをファインチューニングしなくても良い運用が可能です。
インデックス+生成で高精度な回答が得られるため、運用コストが軽くなります。

広義のRAGは非技術者でも使えるか?

広義のRAGは非技術者でも使えるし、むしろ非常に向いています。
定義をわけて解説したのは、専門知識がなくてもRAGを使えるとお伝えするためです。

技術者であれば、より高度な設計やシステムへの組み込みが可能になります。
技術者でなくても、RAGの概念を理解し、活用することは可能です。

どちらにも利点があるため、多角的な視点で理解するのが良いといえるでしょう。

非技術者でも使える3つの理由

  1. 仕組みの構築が不要(ChatGPTやClaudeなど既存サービスで完結)
  2. 必要なのは「どの情報を与えるか」という選択だけ
  3. ITスキルが低くても、ファイルやテキストを用意してアップロードすれば即活用可能

メリット

  • 企画や調査、資料作成など日常業務にすぐ応用できる
  • 小規模事業や個人の知識活用に強い

注意点

  • 常に正しい情報をアップロードする必要がある
  • 情報整理は手動になる
  • 大量データでは精度や効率が落ちる
    →技術アーキテクチャ(狭義のRAG)が有効

広義のRAGを利用する事例

生成AIは膨大な知識を持っていますが、必ずしも最新・特定の情報を知っているわけではありません。

そこで外部ドキュメントを読み込ませ、情報を補完して回答を生成する方法が有効です。
これは「広義のRAG」と呼べるアプローチです。

事例1:利用規約を読み込んでライセンス契約を確認

利用シーン
  • 新しいSaaSツールの利用契約を確認したい
  • 法律用語が多くて難解なので、要点だけ知りたい
操作の流れ
  • 利用規約(PDFやテキスト)をChatGPTにアップロード
  • 「このサービスのライセンス範囲を要約してください」と指示
  • AIがドキュメントの内容を参照し、利用可能な範囲や禁止事項をわかりやすく解説

事例2:ツールのマニュアルを読み込んで操作方法を解説

利用シーン
  • 新しい業務ツールを使うが、操作がわからない
  • マニュアルが長く、目的の情報を探すのが大変
操作の流れ
  • ツールのマニュアル(PDF)をアップロード
  • 「このツールでデータをエクスポートする方法を教えて」と質問
  • AIがマニュアル内の該当部分を探し、手順を箇条書きで説明

事例3:APIリファレンスを読み込んで公式準拠スクリプトを作成

利用シーン
  • PHPでREST APIを実装中
  • 公式ドキュメントを確認しながら、誤ったエンドポイントを避けたい
  • 実際に存在するパラメータやレスポンス形式も把握したい
操作の流れ
  • APIの公式ドキュメント(HTMLまたはPDF)をChatGPTにアップロード
  • 「このAPIで利用できるエンドポイント一覧と、それぞれの概要を教えて」と指示
  • AIがドキュメントから実在するエンドポイントだけを抽出
  • 必要に応じて、リクエスト例やレスポンス形式を併せて提示
活用効果
  • コーディング前に誤ったURLや廃止されたエンドポイントを使うリスクを回避
  • 実装時のコード補完やエラー防止に直結
  • 複雑な公式ドキュメントから必要な情報だけを短時間で取得可能

操作フロー(共通)

				
					[ユーザー質問]
↓
[ドキュメントをアップロード]
↓
[AIがドキュメントを参照]
↓
[関連箇所を抽出]
↓
[要約+解説して回答出力]
				
			
ポイント
  • 「どの情報を使って答えてほしいか」を明確に伝えると精度が上がる
  • 単なる検索ではなく、外部情報+AIの自然言語生成で理解しやすい文章を作れる
  • 最新情報や非公開資料も反映できるので、業務活用の幅が広がる

ハルシネーションに対する効果

RAGの活用は、ハルシネーションの対策として非常に有効です。

ハルシネーションは、生成AIが創造的であるが故に発生する設計上の現象です。
その現象を大きく減らすために、RAGは大いに活躍してくれることでしょう。

ハルシネーションは、ユーザーが注意深く観察しなければ気づかない場合もあります。
そういった意味でも、事前に対策できるという点で有用だといえます。

RAGがハルシネーションを減らす仕組み

「根拠を与える」こと自体が最大の抑止力
モデルに対して明確な参照テキスト(スニペット)を与えると、モデルはその文脈内だけを使って生成する傾向が強まります。
参照スコアで信頼度を導出
類似度スコアや再ランキング結果を基に、回答に“信頼度”を付与できます。
「ないなら答えない」方針を守らせやすい
プロンプト設計で「根拠が無ければ断る」指示を与えると、空想で埋める確率を下げられます。

【注意】ハルシネーションは完全には無くならない

検索ミス(Retrieval Error)
必要な情報をインデックス化していない、または検索で拾えなければ、モデルは近似や類推で埋めようとします。
不適切なソース
インデックスに誤情報や古いデータが含まれていると、根拠そのものが誤りになります。
プロンプト依存
モデルに「証拠を参照して要約せよ」と命じても、プロンプトが甘いと結局推測が混じります。
モデルの生成特性
LLMは情報を“滑らかに”繋げる性質があり、提示したスニペット外の補完を行うことがあります。(※これを完全に止めるのは難しい)

RAGはハルシネーション対策として有効なのは間違いありません。
しかし、完璧ではないという点は覚えておく必要があります。

ハルシネーションを減らす仕組みはありますが、最終的には人間の判断が重要です。

RAGを構成する4つの要素

RAGのシステムを実現するには、以下の4つの要素が必要です。

  1. データソース
    • PDF、Word、Web記事、データベースなど
  2. 埋め込みモデル(Embedding Model)
    • 文章をベクトル化するモデル
  3. ベクトルデータベース(Vector DB)
    • 埋め込みベクトルを保存・検索するデータベース
  4. 生成AI(LLM)
    • 検索結果を受け取って文章を生成

上記の項目のうち、以下の3つをより具体的に解説します。

  • データソース
  • 埋め込みモデル(Embedding Model)
  • ベクトルデータベース(Vector DB)

専門的な内容が含まれるので、興味がない場合は読み飛ばしてもOKです。

RAGのデータソースとは?

RAGは、外部のデータソースから情報を検索して、それを基に生成モデル(例えばGPT)が回答を補完する手法です。

データソースにはさまざまな形式の情報が使われます。

主要なデータソース

  1. PDF
    • 用途: 企業の内部ドキュメント、技術マニュアル、論文など。
    • 特徴: 高度に構造化されているものもあれば、テキスト抽出が難しい場合もある。OCR技術を使うこともあり。
  2. Word
    • 用途: ビジネスレポート、契約書、学術文書など。
    • 特徴: フォーマットが多様で、画像や表が含まれることもある。テキスト抽出や解析に工夫が必要。
  3. Web記事
    • 用途: ニュース、ブログ、FAQなど、インターネット上で公開されている情報。
    • 特徴: 更新頻度が高く、新しい情報をリアルタイムで反映できるが、情報の品質にばらつきがある。
  4. データベース
    • 用途: 顧客情報、製品データ、研究データなど。
    • 特徴: 組織内で一貫性のあるデータを提供できるが、検索やアクセス方法に工夫が必要(SQLやAPI連携など)。

事前整理・クリーニングの重要性

テキスト抽出

PDFやWordのような非構造的な形式からテキストを抽出する際には、テキストの品質が低下することがあります。

そのため、精度を上げるためには前処理が必要です。
特に、不要な改行や余分な空白などを削除する作業が重要です。

重複の排除

データソース内に同じ内容が複数回出てきたり、冗長な部分が発生することがあります。

その場合は、検索効率や生成された回答の品質が低下するため、重複した情報を削除する必要があります。

情報の整形

Web記事やデータベースの場合、必要な情報を適切な形式に整形する必要があります。

たとえば、Webスクレイピングを行う場合、HTMLタグを取り除き、必要なテキスト部分を抽出する作業が必要です。

フォーマットの統一

異なるデータソース(PDF, Word, Web記事など)を統一されたフォーマットに変換することも重要です。

これは、システムで一貫性を持って扱うための作業です。

RAGシステムの大まかな流れ

  1. データの収集:
    PDF、Word、Web記事、データベースから情報を集める。
  2. 情報の整形・整理:
    データを整形・クリーニングして、適切な形式でRAGシステムに供給できるように準備する。
  3. 検索プロセス:
    ユーザーのクエリに基づいて、事前に整備されたデータから関連する情報を検索。
  4. 生成:
    検索結果に基づいて、生成モデル(例えばGPT)を使って応答を作成する。

埋め込みモデル(Embedding Model)とは?

埋め込みモデルとは、文章や単語などのテキストデータを固定長のベクトル(数値の集合)に変換するモデルです。

テキストデータの意味的な情報を数値で表現するもので、類似度計算や検索などに利用されます。

主な特徴

  • 文章や単語を高次元のベクトルに変換
  • 意味的な類似性に基づいて近いテキストを識別
  • 言語モデル(例えばBERTやGPT)の出力をベクトル化して利用

代表的な埋め込みモデル

  1. OpenAIのEmbedding API
    • text-embedding-3-large、text-embedding-3-smallなどが有名。
    • 商用利用向けで高精度、スケーラブル。APIベースで利用できる。
    • 特徴: APIを通じて提供されるため、インフラ管理不要で、精度の高い埋め込みをすぐに使用可能。
  2. Sentence-Transformers
    • ローカル利用向けで、sentence-transformersライブラリを使って埋め込みを生成できる。
    • BERTやRoBERTaなどのモデルを使い、テキストをベクトル化して類似度計算を行う。
    • 特徴: オープンソースで、ローカルで自由に使える。GPUを使って高速化可能。
  3. その他のモデル
    • Universal Sentence Encoder (USE)やInferSentなど、他にもテキスト埋め込みを生成するモデルが存在。

埋め込みモデルの選定は、主に用途や規模によって決まります。

商用でスケーラブルなサービスを求める場合はOpenAIの埋め込みAPIが便利です。
ローカル環境で高速に処理したい場合はsentence-transformersが適しています。

ローカル利用の利点

データを外部に送信せず、完全にオンプレミスで処理ができるため、プライバシーやセキュリティ面で優れています。

ベクトルデータベースとは?

ベクトルデータベースとは、文章・画像・音声などのデータをベクトル(高次元の数値)に変換して保存するデータベースです。

類似検索(近いベクトルを探す)を効率的に行うために利用されます。

主な用途

  • 類似文章検索(セマンティック検索)
  • 質問応答システム(RAG構成など)
  • 画像検索(類似画像の取得)
  • レコメンデーションシステム

代表的なベクトルデータベース

名前 特徴
Pinecone マネージド型、スケーラビリティ・スピード重視(商用向け)
Weaviate GraphQL対応、モジュール型で柔軟、LLM連携機能あり
Milvus 高性能なスケーラブル設計、Zillizが提供
Qdrant Rust製で高速、安全設計、オンプレミス・クラウド両対応
FAISS Facebook製のライブラリ、ローカルで使える、高速だが単体では分散不可

基本的には、データベース単体ではベクトルを生成できません。
そのため、埋め込みモデルでベクトルを生成してから使います。

多くのベクトルDBは、近似近傍探索(ANN)を使って高速化しています。

RAGが処理される具体的な流れ

ここまで、以下の4つの構成要素について解説してきました。

  • データソース
  • 埋め込みモデル(Embedding Model)
  • ベクトルデータベース(Vector DB)
  • 生成AI(LLM)

次に、これら4つの要素がどのように使われて動作するのか具体的に紹介します。

【1】データソースからデータを得る

まず、検索や生成に使いたいデータ(例えば、テキスト、文書、記事など)を集めます。これらはまだ「生データ」なので、次のステップでそれを処理します。

【2】埋め込みモデルがベクトルを生成する

得られたデータを埋め込みモデルに渡し、ベクトル(数値表現)を生成します。

埋め込みモデルはテキストを入力として受け取り、その意味を捉えた高次元のベクトルを出力します。

例えば、文書が似ている場合、その文書の埋め込みベクトルも似た数値になります。
ここでは、各データに対応する埋め込みベクトルが一つ一つ計算されます。

【3】ベクトルデータベースに保存する

生成された埋め込みベクトルをベクトルデータベースに保存します。

ベクトルデータベースは、効率的に埋め込みベクトルを検索できるように設計されており、以下のことを行います。

  • ベクトル間の類似度計算
  • 高速な近似検索
  • ベクトルのインデックス作成

保存されたベクトルは、後でクエリに対して検索され、最も関連性の高いデータを引き出すために利用されます。

【4】生成AI(LLM)がデータを利用する

ユーザーからクエリ(質問や入力文)が来ると、クエリを埋め込みモデルに渡してベクトルを生成します。

次に、このクエリベクトルを使ってベクトルデータベースを検索し、最も関連性の高い埋め込みベクトル(つまり、関連する文書や情報)を取得します。

その後、取得したデータ(文書や情報)を基に、生成AIが適切な応答を生成します。
この応答は、検索された情報を基にした生成的な回答となります。

ポイント

埋め込みベクトルを生成して保存するのは、データを後で検索しやすくするためです。
ベクトルデータベースは、生成されたベクトルの保存と高速検索を担っています。

【ケース】あいまいな質問に答えるRAGの処理フロー

例:「Nexus AIのレギュラー会員で使える特典は?」とチャットボットに質問した場合

				
					[ユーザー質問]
↓
[Embedding変換]
↓
[Vector DBで類似情報検索(あいまいな表現もカバー)]
↓
[上位3〜5件を取得]
↓
[LLMに渡して文章生成]
↓
[回答出力]
				
			
  1. 質問をベクトル化(Embedding)
    • 「レギュラー会員」「特典」「使える」などの意味的な特徴をベクトルに変換。
  2. ベクトルDBで類似文書検索
    • 「会員特典」「プラン比較表」「サービス内容」など、直接「レギュラー会員」という単語がなくても意味が近い文書もヒット。
    • 例えば、「スタンダードプラン」「通常会員」という言葉が使われている文書も対象となる。
  3. 検索結果をLLMに渡す(プロンプトに含める)
    • 上位3〜5件の関連文書をまとめてプロンプトに挿入。
    • 「レギュラー会員」に該当するプランの特典について、正確に答えるよう指示を追加。
  4. LLMが回答生成
    • 検索された文書の内容をもとに、ユーザーにわかりやすく特典内容を説明。
    • 例えば「レギュラー会員は○○の特典が利用可能で、△△のサービスも含まれます」と具体的に回答。

このように、Embedding+Vector DBは曖昧な質問や表現の違いに強く、FAQやサポートBotの質を格段に上げる役割を果たします

【まとめ】RAGはAIの本格的な運用に必須

ここまで、RAG(Retrieval-Augmented Generation)について詳細に解説してきました。

結論としては、より根拠のある結果を出力するためには、RAGは必須といえます。

技術者であってもなくても、何らかの形でRAGの仕組みは活用可能です。
意図したとおりの出力を得るために、根拠となる資料をできるかぎり提示しましょう。

広義/狭義のRAGの使い分け

広義のRAGは、小規模・短期的な情報補完に適しています。
技術知識がなくてもすぐ活用できるのが特徴です。

たとえば、チャットGPTであれば、ファイルを添付して共有できます。
公式ドキュメントや資料を提供することで、あいまいな情報は確実に減少します。

狭義のRAGは、大規模・継続的な情報活用に強い仕組みです。
企業システムや高度な検索が必要な場面に向いています。

また、APIを利用してAIを取り入れる動きもさらに加速していくでしょう。
その際に、システムにRAGを組み込むことで、専門性の高い分野にも対応できます。

これからのAIの進化発展へ向けて

このような仕組みを理解することは、今後の進化発展に対して重要な意味を持ちます。

当サイト(Nexus AI)は、AIでより良い未来を創造するコミュニティです。
様々な情報共有や意見交換に興味があれば、以下のリンクから参加できます。

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RAG (検索拡張生成) に関するFAQ

RAG(検索拡張生成)とは、AIが答えを作るときに、外部の情報も参照してより正確な答えを作る仕組みです。

AIは大量の知識を持っていますが、最新情報や特定の専門情報までは知らないことがあります。RAGを使うと、最新の情報を取り入れて回答できます。

AIはまず「関連しそうな情報」を検索し、それを元に答えを生成します。例えると、司書が本棚から本を探して、その内容を分かりやすくまとめるイメージです。

はい。専門知識がなくても、RAGを組み込んだサービスやアプリを使えば、簡単に外部情報を参照したAI回答を得られます。

例えば、業務マニュアルを自動でまとめたい、最新ニュースの内容を質問に答えたい、専門資料の情報をAIに整理させたい、といった場面で役立ちます。

RAGは情報を補助する仕組みですが、情報源によっては間違いも含まれることがあります。最終的には人が確認することが大切です。

仕組み自体は少し専門的ですが、利用者はアプリやサービスを通じて簡単に使えます。難しい技術は裏側で処理されます。

普通のAIは自分の中の知識だけで答えますが、RAGは外部の情報も取り入れて答えるので、より正確で最新の回答が可能です。

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髙橋克慶

髙橋克慶

Nexus AI 代表

Web制作・デザイン・マーケティング・コンサルティング等の経験を積み、日本 AIコミュニティ Nexus AIを立ち上げる。AIを実際に活用して、コミュニティ運営に大いに役立てている。

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髙橋克慶
フリートーク広場 #1
こんにちは。 画像生成や動画生成も今後のテーマとして取り上げたいと思って...

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