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AIの仕組みを学ぶ際に、利用されている技術を知ることは非常に重要です。
その中でも、NLP・LLM・NN・DLは最も重要といえる概念です。
これらの技術は、それぞれ深く関係しており、全て欠かすことのできないものです。
この記事では、4つの技術の特徴と関係性をわかりやすく解説しています。
AIがどんな仕組みで動いているのか、基盤となる部分を見ていきましょう!
AIで使われている4つの技術
さて、冒頭でもお伝えしたとおり、AIは主に4つの技術が基盤となっています。
- 自然言語処理(NLP)
- 大規模言語モデル(LLM)
- ニューラルネットワーク(NN)
- ディープラーニング(DL)
これらの技術は非常に重要であり、AIの根幹を支えています。
まずは、それぞれの基本的な仕組みや特徴をお伝えしていきますね。
そのうえで、関連性や統合について深掘りしていきましょう。
【1】自然言語処理 (NLP) とは?
Natural Language Processing(自然言語処理, NLP)は、人間の言葉(自然言語)をコンピュータで処理する技術のことです。
NLPの主な目的は、テキストや音声を理解し、生成し、翻訳し、要約することです。
NLPの主なタスク
NLPのタスク | 説明 | 例 |
---|---|---|
形態素解析 | 文章を単語に分割し、品詞を識別 | 「私は学校へ行く」 → [私(代名詞), は(助詞), 学校(名詞), 行く(動詞)] |
構文解析 | 文の文法構造を分析 | 「太郎は花子にプレゼントを渡した」→主語・目的語・述語を識別 |
意味解析 | 単語や文の意味を理解 | 「軽い荷物」と「軽い気持ち」の違いを識別 |
感情分析 | テキストの感情を推定 | 「この映画は最高!」→ ポジティブ |
機械翻訳 | 自然言語を別の言語に変換 | Google翻訳 |
質問応答(QA) | 問いに対して適切な回答を生成 | 「日本の首都は?」→「東京」 |
テキスト生成 | 文章を自動生成 | チャットGPTのような会話AI |
近年では、ディープラーニング(特にTransformerアーキテクチャ)によるNLPが主流になっています。
【2】大規模言語モデル (LLM) とは?
Large Language Model(大規模言語モデル, LLM)は、巨大なデータセットを用いてトレーニングされたAIモデルです。
まるで人間のように、自然な言語を理解・生成できます。
LLMの特徴
- 大規模データで学習(数百GB~数TBのテキスト)
- ディープラーニング(特にTransformer)を活用
- 事前学習 + ファインチューニングで様々なタスクに適応
- 汎用的な言語理解と生成能力を持つ(質問応答・要約・翻訳など)
このように、NLPがさらに進化した特徴をもっています。
LLMの仕組み
LLMは、主にトークン単位での予測を行います。
与えられたテキストの続きを推測する形で動作するのが特徴です。
例えば、以下のような予測を行います。
「AIの進化によって」→ 「人間の仕事のあり方が変わるでしょう。」
この予測精度を高めるために、大量のデータと強力なニューラルネットワークを使って訓練されています。
代表的なLLM
モデル | 開発元 | 用途・特徴 |
---|---|---|
GPT-4 | OpenAI | ChatGPT, コード生成 |
PaLM 2 | Gemini(旧Bard) | |
LLaMA 3 | Meta | 軽量・効率的なオープンモデル |
Claude | Anthropic | AIアシスタント |
BERT | 文脈理解が強い | |
T5 (Text-To-Text Transfer Transformer) |
柔軟なタスク対応 |
【3】ニューラルネットワーク (NN) とは?
ニューラルネットワーク(Neural Network)は、人間の脳の神経回路(ニューロン)を模倣した数学モデルです。
機械学習・深層学習(ディープラーニング)の基盤となっています。
基本構造
- 入力層(Input Layer):データを受け取る
- 隠れ層(Hidden Layers):データを処理(特徴抽出、非線形変換)
- 出力層(Output Layer):予測結果を出力
例えば、手書き数字認識の場合だと、以下のようになります。
- 入力層:画像のピクセル情報を数値として受け取る
- 隠れ層:特徴を抽出し、どの数字に最も近いか学習
- 出力層:「0~9のどの数字か」を確率として出力
ニューラルネットワークの種類
- 全結合ニューラルネット(FNN):基本的な構造
- 畳み込みニューラルネット(CNN):画像認識に特化
- 再帰型ニューラルネット(RNN):時系列データに強い
- Transformer:NLPやLLMで主流(GPT、BERTなど)
Transformerアーキテクチャ
LLMの基盤となる技術は、Transformerというモデルです。
このアーキテクチャは、以下の2つを活用して言語理解・生成を行います。
- 自己注意機構(Self-Attention)
→ すべての単語が他の単語との関係を学習できる - 位置エンコーディング(Positional Encoding)
→ 単語の順序情報を保持
この技術により、従来のRNNよりも高速かつ長文の処理が得意になりました。
ニューラルネットワークの問題点
初期のニューラルネットワークは、以下の問題がありました。
- 浅いネットワーク(層が少ない)だと、複雑なパターンを学習できない
- 勾配消失問題(Gradient Vanishing)により、層を増やしても学習がうまく進まない
この問題を解決するために登場したのが、ディープラーニング(DL)です。
【4】ディープラーニング (DL) とは?
ディープラーニング(Deep Learning)は、多層のニューラルネットワーク(深層学習)を活用した機械学習の手法です。
ディープラーニングの特徴
- 隠れ層(Hidden Layers)が多い(一般に3層以上)
- 自動的に特徴を抽出(従来の機械学習のように特徴量を手作業で作る必要がない)
- 膨大なデータと計算資源を活用(GPUの進化が影響)
代表的なディープラーニングモデル
モデル | 用途 |
---|---|
CNN(畳み込みニューラルネットワーク) | 画像認識(顔認識、医療画像解析) |
RNN(再帰型ニューラルネットワーク) | 時系列データ(音声認識、株価予測) |
Transformer | NLP・LLM(ChatGPT、翻訳) |
各技術の関連性について
NLP・LLM・ニューラルネットワークはすべて相互に深く関連しています。
それぞれが異なる概念ですが、連携することで強力なAIが実現されています。
【1】関係性の概要
ニューラルネットワーク → NLPを支える基盤
- ニューラルネットワークは、AIが学習・推論するための数学的モデル。
- これを応用して、言語を扱う技術が発展し、NLPが生まれた。
ディープラーニング → ニューラルネットワークの進化形
- ニューラルネットワークをさらに発展させた技術。
- より深い多層的なニューラルネットワークのこと。
NLP → LLMの開発に不可欠
- NLPは、文章の理解・生成・翻訳などを扱う技術。
- LLMはNLPを強化するために開発された、超大規模な言語モデル。
LLM → ニューラルネットワークを活用
- LLMは、ニューラルネットワーク(特にTransformer)を活用し、大量のデータを学習して自然な会話を可能にしている。
【2】関係性の流れ
1. ニューラルネットワーク(技術の基盤)
2. NLP(ニューラルネットを活用し、言語を処理)
3. LLM(NLP技術を大規模データで強化)
※ディープラーニング→ニューラルネットワークの進化形
【3】具体的な技術との関係
技術 | 関連性 |
---|---|
ニューラルネットワーク | AIの基盤(数値データを学習・推論) |
ディープラーニング | ニューラルネットワークの進化形 |
Transformer | NLPやLLMに特化した最先端のニューラルネット |
NLP | 言語を処理する技術(ニューラルネットを利用) |
LLM | NLPを強化した大規模モデル(Transformerを利用) |
【4】関係性のまとめ
ニューラルネットワークは、あらゆるAI技術の基盤。
→ これを活用して、言語を扱う技術が進化し、NLPが誕生。
→ NLPを大規模に拡張したものがLLM(GPT-4など)。
つまり、LLMはNLPの進化系で、NLPはニューラルネットワークの応用分野と言えます。
この3つは、相互に関連しながらAIの発展を支えているのです。
AIにおける技術の連携と統合
ここからは、各技術がどのように連携し、統合されていくのか深掘りして解説します。
ここまでの特徴や関係性をおさえておくことで、より理解が深まる内容です。
どのように連携して高度な技術が実現するのか、詳しく見ていきましょう!
NLPとLLMの関係
NLPとLLMの関係を簡単にまとめると、
LLMは「NLP技術を活用した最先端のAIモデル」です。
- NLPは言語処理全般の技術、LLMはその中の最先端技術
- LLMはディープラーニング(Transformer)を活用し、高度なNLPを実現
- 従来のNLP(ルールベース・統計手法)よりも、LLMは高精度な言語処理が可能
- NLPの発展がLLMを生み、LLMの進化がNLP全体を加速している
つまり、
「LLMは最先端のNLP技術であり、NLPの進化の象徴」
という関係にあります。
NLPとLLMの違いを整理
項目 | NLP(自然言語処理) | LLM(大規模言語モデル) |
---|---|---|
範囲 | 言語の処理全般 | NLPの中の一分野 |
技術 | ルールベース、統計的手法、機械学習 | ディープラーニング(特にTransformer) |
学習データ | 小~中規模のデータ | 超大規模データ(インターネット全体など) |
タスク | 文法解析、翻訳、感情分析など | NLPタスク全般を汎用的に処理 |
出力 | 特定のタスクに最適化 | 汎用的な言語理解と生成 |
NNとDLの関係
ニューラルネットワークとディープラーニングは、それぞれ密接に関連しています。
両者の関係を簡単にまとめると以下のようになります。
- ニューラルネットワーク(NN) は、人間の脳の神経回路を模倣した数学モデル。
AIがデータを学習し、パターンを認識するための基礎。 - ディープラーニング(DL) は、多層のニューラルネットワークによる機械学習の手法。
従来の機械学習と比べて、大量のデータを処理し、高度な特徴抽出が可能。
つまり、ディープラーニングはニューラルネットワークを発展させたものといえます。
より深い(多層の)ニューラルネットワークを指すという関係性があります。
NNとDLの違いを整理
項目 | ニューラルネットワーク | ディープラーニング |
---|---|---|
定義 | 人工的に作られた神経回路モデル | 多層(深層)のニューラルネットワークを活用する機械学習手法 |
層の数 | 1~数層(浅い) | 3層以上(深い) |
特徴抽出 | 人間が特徴量を設計 | 自動で特徴を学習 |
計算コスト | 低い | 高い(GPUが必要) |
用途 | シンプルな分類・予測 | 画像認識、音声認識、自然言語処理(NLP)など |
【まとめ】AIは最新技術の結晶
このように、AIは非常に高度な技術が集まってできた結晶です。
誰もが簡単に扱えるテクノロジーは、このような仕組みで成り立っています。
これまでの内容を整理し、各概念がどのように関連しているのかを体系的にまとめます。
各技術の概要
概念 | 概要 | 主な技術・手法 |
---|---|---|
ニューラルネットワーク(NN) | 人間の脳の神経回路を模倣したアルゴリズム | パーセプトロン, 多層NN(MLP), CNN, RNN, Transformer |
ディープラーニング(DL) | ニューラルネットワークを多層化した学習手法 | 深層ニューラルネットワーク(DNN), 誤差逆伝播法, GPU最適化 |
NLP(自然言語処理) | コンピュータが自然言語を処理・理解する技術 | 形態素解析, 構文解析, 感情分析, 機械翻訳, テキスト生成 |
LLM(大規模言語モデル) | ディープラーニングを活用し、膨大なテキストデータを学習した高度なNLPモデル | Transformer(GPT, BERT, T5, PaLM), 事前学習, ファインチューニング |
各技術の関連性
1. ニューラルネットワークとディープラーニング
- ニューラルネットワークはAIの基本的なアルゴリズムの一つ
- ディープラーニングはニューラルネットワークを多層化し、
高度な学習を可能にしたもの
▶ ディープラーニングはNNを発展させた技術
2. ディープラーニングとNLP
- NLP(自然言語処理)は言語を扱うAI技術全般
- NLPには、昔からルールベースや統計的手法もあったが、
現在はディープラーニングが主流 - ディープラーニングにより、文脈理解・生成が飛躍的に向上
(例:翻訳、要約、質問応答など)
▶ NLPの発展のためにディープラーニングが利用されている
3. NLPとLLM
- LLM (大規模言語モデル) は、NLPの中でもディープラーニングを活用した最先端技術
- 従来のNLPよりも大規模データを使い、Transformerによって文脈を深く理解できる
- ChatGPTやGemini、ClaudeなどのLLMは、高度なNLPを可能にするモデル
▶ LLMはNLPの一部であり、最も進化した形
4. ニューラルネットワーク・ディープラーニングとLLM
- LLMはディープラーニング(特にTransformer)によって動作する
- Transformerは、ニューラルネットワークの一種(自己注意機構を活用)
- つまり、LLMはニューラルネットワークの進化系であり、ディープラーニングの成果
▶ LLMは最も高度なニューラルネットワークモデルの一つ
4つの概念を統合した関係図
ニューラルネットワーク(NN)
└── ディープラーニング(DL)
└── NLP(自然言語処理)
└── LLM(大規模言語モデル)
理解するポイント
- LLMは、ディープラーニングとNLPを融合させた技術
- ディープラーニングは、ニューラルネットワークを発展させたもの
- ニューラルネットワークがすべての基盤となっている
結論として、
LLMはNLPの進化形であり、ディープラーニングの成果であり、ニューラルネットワークがその基盤となっています。
こうした技術の組み合わせによって、チャットGPTのような高度なAIが実現しています。
AI技術に関するFAQ
NLP(自然言語処理)とは何ですか?
人間の言語をコンピュータが理解・解析・生成する技術で、翻訳や感情分析、テキスト生成などに使われます。
LLM(大規模言語モデル)とは?
巨大なテキストデータで訓練されたAIモデルで、人間のように自然な言語を理解・生成できる仕組みです。
ニューラルネットワーク(NN)とは?
人間の脳の仕組みを模倣した数学モデルで、パターン認識や予測など、AIの基礎技術として使われます。
ディープラーニング(DL)とは何ですか?
ニューラルネットワークを多層化した技術で、大量のデータから自動で特徴を学習できるAIの進化系です。
これら4つの技術の関係性は?
ニューラルネットワークはAIの基礎で、ディープラーニングはその発展形です。
ディープラーニングがNLPやLLMの進化を支えており、4つは密接に連携しています。
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