AIにおける「トークン・パラメータ」の意味と動作【徹底解説】

AIにおける「トークン・パラメータ」の意味と動作【徹底解説】

目次

生成AIの仕組みを理解する上で、トークン・パラメータという2つの要素が重要です。
これらはシステム内で動作して、AIと自然な言語で対話することを可能としています。

より深くAIを知るには、非常に有用な知識といえるでしょう。
この記事では、トークン・パラメータについて、基本から応用まで深く解説しています。

まずは導入部分を見るだけでも、大まかな仕組みを理解できます。
ということで、さっそく詳しい内容を見ていきましょう!

AIのトークン(Token)とは?

トークンとは、AIが文章を処理する際の最小単位のことです。
単語や文字列を細かく分割したもので、LLM(大規模言語モデル)などで利用されます。

文字単位でもなく、完全な単語単位でもなく、その中間的な単位です。
AIはこのトークンの並びを読み取り、意味を判断して応答を生成します。

トークンの具体例

たとえば以下の文を見てみましょう。

これをトークンに分解すると、たとえば以下のようになります。
(モデルやトークナイザーによって多少異なります)

				
					["Chat", "G", "PT", "は", "素晴らしい", "AI", "です", "。"]
				
			

※ GPTモデルでは、単語の途中で区切るようなトークン分割が行われることがあります。

なぜトークンが重要なのか?

トークンは、主に以下の2点において重要です。

  1. トークン数=処理限界を意味します。
    たとえば、GPT-4 Turboでは「128,000トークン」までの文脈を保持できます。
    しかし、それを超えると前の会話や情報を忘れてしまいます。

  2. 料金にも関係しています。
    APIなどでは「1,000トークンあたり〇円」のように課金されます。
    そのため、トークン数の最適化はコスト削減にもつながります。

AIのパラメータ(Parameter)とは?

パラメータとは、ニューラルネットワーク内にある重み付きの数値データのことです。

モデルは、学習時に大量のテキストデータを読み込みます(ディープラーニング)。
そして、「言葉のつながり方」や「意味の関連性」を学んでいきます。

その結果、AIが学習した知識は、数兆個のパラメータとして保存されます。
つまり、パラメータはAIの「知識」や「判断力」を担う部分ということです。

具体的なイメージ

パラメータは、脳の神経回路のように、AIがどんな反応をするかを決定します。

例えば、人間が「昨日の映画どうだった?」と、相手に声をかけたとします。
すると、以下のような反応があるかもしれません。

上記の例では、知識や経験によって、TPOに基づいた適切な返答を行っています。
モデルの場合も、入力に対してどの出力を返すかをパラメータで判断しています。

つまり、どのような「スタイル」を使うかは、内部パラメータによって決まります。

パラメータの規模と性能

パラメータの例として、GPTモデルは以下のような規模となっています。

  • GPT-3:1750億パラメータ
  • GPT-4:非公開(数兆規模と言われている)

パラメータ数が多いほど、言語の理解力・生成精度が向上する傾向があります。

実際に、GPTモデルも世代が進むごとに性能の向上が顕著です。
ただし、パラメータが増えると、その分だけ処理コストも増大します。

トークンとパラメータの違い

トークンとパラメータの違いを一覧表でまとめると、以下の通りです。

トークン パラメータ
定義 入出力されるテキストの単位 モデル内部にある重み付き数値
役割 テキストの分解・構築 テキストの意味や構造の判断に使用
数のイメージ 数十〜数万(文単位) 数十億〜数兆(モデル全体)
課金対象 API料金に直結 モデルの性能・精度に関与

どちらも重要な要素で、役割が異なります。
まとめて比較することで、ポイントを押さえておきましょう!

生成AIとSaaS / APIで使われるトークンの違い

さて、ここでトークンの意味についてのおさらいです。

生成AIのトークンと、SaaS / APIなどで使われるトークンは、意味が異なります。
ここでは、それぞれの意味や違いを整理して解説します。

生成AIにおける「トークン」

生成AI(GPTなど)におけるトークンとは、テキストの最小構成単位を意味します。

文字列を処理しやすくするために、AIは単語や句、語尾などをトークンに分解して理解・生成を行います。

つまり、こちらのトークンは「言語処理上の単位」ということです。

SaaSやAPIの「トークン」

SaaSやAPIで使われるトークンとは、認証や認可に使われる一種の鍵のようなものです。

ユーザーやアプリがサービスにアクセスする際に、このトークンを提示します。
その結果、「誰か」「何を許可されているか」が識別可能です。

たとえば、APIキーやOAuthトークンなどがこれに該当します。

各トークンの違い【一覧表】

違いを明確にするために、一覧表で比較してみましょう。

生成AIのトークン SaaS / APIのトークン
意味 テキストを分割した最小単位 アクセス認証・認可のための鍵
使い道 テキスト理解・生成処理 APIアクセス制御・ログイン管理
形式 単語・句・語尾などの分割単位 ランダムな文字列
目的 言語処理の正確さと効率向上 セキュリティ確保とユーザー識別
関連技術 Byte Pair Encoding(BPE)、Tokenizer OAuth、JWT、APIキーなど
代表的な使われ方 「この文脈における単語の意味は?」を理解するために使う 「このユーザーはこのAPIにアクセス可能か?」を判定

このように、「同じ言葉でも、文脈が異なれば全く別のもの」となる典型的な例がこの「トークン」です。

理解を深めておくことで、生成AIとSaaSの両方を扱う際も混乱なく設計・活用できます。

トークン・パラメータが動作している例

トークン・パラメータを例えるなら、以下のとおりです。

  • トークン:入力されたテキストを「部品」に分解したもの(読み取り単位)
  • パラメータ:AIの「知恵の倉庫」から最適な部品の組み立て方を決める指令役

まるで文章というレゴブロックを作るみたいに、以下のようにイメージできます。

  • トークン=個々のブロック(色や形が異なる)
  • パラメータ=それらを組み合わせる設計図と判断力

トークンが動作している例

では、トークンがどのように動作しているのか、具体的なシナリオで見ていきましょう。

ChatGPTに「こんにちは、元気ですか?」と入力する

ステップ1:テキストをトークンに分解

まず、モデルはこの日本語テキストを「トークン」に分割します。

この文は、以下のような形で分割されます(トークナイザーに依存)。

				
					["こんにちは", "、", "元気", "です", "か", "?"]
				
			

GPT系では日本語をそのまま分割するわけではありません。
実際には、サブワードやByte Pair Encoding(BPE)で次のようになる場合もあります。

				
					["▁こんにちは", "、", "▁元", "気", "▁です", "か", "?"]
				
			

※「▁」は、単語の先頭に付く区切り記号です(英語のスペースに近い役割)。

ステップ2:処理トークン数のカウント

このトークン数がモデルにとっての「1リクエストの処理量」になります。
たとえば、上記は7トークン程度なので、ほぼコストがかからない軽いリクエストです。

パラメータが動作している例

次に、パラメータがどのように動作しているのか見ていきましょう。

ChatGPTが返答「はい、元気です。あなたは?」を生成する

ステップ1:モデルの「予測開始」

まずは、あなたが「こんにちは」「元気ですか?」などのトークン列を送ります。

すると、モデルは、トークン列を入力として受け取ります。
その入力に対して、次に来ることが期待される単語を予測します。

ここで「パラメータ」の出番となるわけです。
モデル内部では、数兆個ある「パラメータ」が一斉に動作します。

パラメータは、ニューラルネットワークの各層に配置されています。
それらの役割は、以下の通りです。

  • ある単語と単語の関係性を評価する
  • どの語が文脈にふさわしいかを計算する
  • 文法的・意味的に自然な語順を判断する
ステップ2:1トークンずつの生成

モデルは一気に文を出力するのではなく、1トークンずつ予測して生成します。

例えば:

  1. 入力:「こんにちは、元気ですか?」
  2. 出力の予測開始 → 最初の出力:「はい」
  3. 次のトークンを予測 → 「、」
  4. さらに → 「元気」
  5. さらに → 「です」
  6. 最後に → 「あなたは?」

一連の「次にふさわしいトークンを選ぶ」過程すべてに、パラメータが働いています。
選択の精度が高いほど、自然な応答になります。

パラメータの内部構造とトークン制限

さらに深く踏み込んで、パラメータの内部構造やトークン制限について解説します。

パラメータの内部構造

現代の生成AIの中核には、Transformer構造という強力なアーキテクチャがあります。
この中でも特に重要なのが「Attention(注意機構)」です。

Attentionとは?

Attentionは、「どの単語が今の文脈でどれくらい重要か」を見極める仕組みです。

たとえば:

この文の中で「」が誰を指しているか?
渡した」という動詞に対して、主語や目的語はどれか?

こうした「関係性」を文の中で動的に見つけ出すのが、Attentionの役割です。

パラメータの使い方

各Attentionの重みは、すべて学習によって調整されたパラメータで表現されます。

GPT-4のようなモデルでは、このパラメータが数兆個に及びます。
まるで、壮大な「言語の地図」を内蔵しているようなものです。

Self-Attentionのイメージ

Self-Attentionとは、文中の全単語がお互いに注目し合うという仕組みです。
たとえば、以下のように各単語がそれぞれの重みを付けて関連性を計算します。

対象語 「彼」 「昨日」 「彼女に」 「プレゼントを」 「渡した」
「彼」 0.1 0.1 0.2 0.1 0.5

→ 「彼」は「渡した」と強く関連していると判断。
こうして、各語の関係性をパラメータの中に埋め込むことで、文脈を深く理解します。

Multi-Head Attention

「1つの視点」だけでなく、「複数の視点(head)」から文脈を見るのが特徴です。

あるheadは「主語と動詞の関係」を担当します。
それとは別のheadは「目的語とのつながり」などを担当します。

Transformerの構造図(要点)

				
					[入力トークン列]
   ↓(埋め込み)
[Embedding Layer]
   ↓
[Multi-Head Attention]
   ↓
[Feed Forward Network]
   ↓(何層も繰り返す)
[出力トークン予測]
				
			

トークン制限への対処法

生成AIには「1リクエストあたりのトークン上限」があります。
GPT-4 Turboでは128,000トークンまで可能ですが、使い方に工夫が求められます。

主な制限と症状

  • 長すぎる会話や文書では、「古い情報」を忘れる
  • 入力が長くなりすぎると、レスポンスが短くなったり中断されたりする
  • 重要情報が切り捨てられることもある

対処法(戦略的アプローチ)

① プロンプトを圧縮・要約する
  • 長文を渡す前に「この文を要約してから入力」などのステップを挟む
  • ChatGPT自身に「要点だけを10行以内でまとめて」と頼むのも有効
② Context Windowを管理する
  • トークンの累積量に注意し、古い情報は明示的に再入力する
  • メモリ機能がある場合は、重要情報を要約して残す設計にする
③ 外部の知識ベースを使う
  • トークンに含めず、外部から情報を都度呼び出す
    (例:RAG:Retrieval Augmented Generation)
  • Web検索やデータベース参照を組み合わせた設計が理想です
④ 分割処理
  • 長文タスクを分割して処理させ、それぞれの結果を統合する
  • 例:「章ごとに要約」→「全体の要約を別に生成」
⑤ ツールの選定
  • 128Kトークン対応のGPT-4 Turboなど、長文対応モデルを選ぶ
  • Claude 3(Anthropic)もトークン容量に強みがあります

補足:生成AIの設計視点

  • トークンは有限だが、知識のネットワーク(パラメータ)はほぼ無限に近い
  • トークンはメッセージの素材、パラメータはそれを「意味」に変える頭脳

両者を理解し活用することで、生成AIを「賢く、効率的に」使うことが可能となります。

【まとめ】トークンとパラメータの活用法

ここまで、トークンとパラメータの役割と活用法を詳細に解説してきました。
最後に、すべての要点を一覧表でまとめます。

項目 内容 補足
トークン AIが文章を処理する際の単位 英単語や日本語の一部(語尾など)に分割される
パラメータ AI内部の知識と判断力を司る重み情報 GPT-4などでは数兆個レベルのスケール
Attention 単語同士の関係性に重みを付けて理解する機構 Self-Attentionにより文脈を動的に捉える
Multi-Head Attention 複数の視点で文脈を同時に解析する手法 文中の関係性を多角的に捉える
トークン制限 入力・出力トークン数に上限がある GPT-4 Turboは128,000トークンまで
対処法(例) ・要約入力
・外部知識連携
・分割処理
長文対応、効率的処理に有効
活用の要点 パラメータを活かしつつ、トークンを戦略的に使う 知識の深さと処理容量の両立が鍵

トークン数の制限に配慮し、AIが学習したパラメータの力を引き出す設計が重要です。

このような仕組みを知っておくことで、より深く生成AIを理解できます。
実際に利用するシーンでも、システムの背景をイメージしやすくなるでしょう。

あなたがAIを活用するための助けとなれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!

AIにおける「トークン」と「パラメータ」のFAQ

トークンとは、AIが文章を処理するために分割された最小単位で、単語の一部や文字列が含まれます。

トークン数はAIの処理可能な文脈の上限に関わり、API利用時の料金にも直結するため重要です。

パラメータは、AIが学習時に得た知識や判断力を数値として保持する内部データのことです。

パラメータは、AIが文脈に応じた適切な応答をするための「判断材料」として機能します。

トークンは入力される「言葉の単位」、パラメータはAIの「内部的な知識・学習の結果」です。

トークンは単語よりも細かい単位で、英単語の一部や助詞・記号なども1トークンとして処理されます。たとえば「ChatGPT」は「Chat」「G」「PT」のように分割されます。

モデルの文脈保持の上限を超えると、古い情報が切り捨てられ、AIが過去の会話を「忘れる」可能性があります。これは精度や一貫性に影響します。

一概にそうとは限りません。パラメータが多いほど知識量は増えますが、設計や訓練データの質、推論方法も大きく影響します。

冗長な表現を避け、要点だけを伝えることでトークン数を節約できます。プロンプト設計やチャットAPI利用時のコスト削減にもつながります。

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髙橋克慶

髙橋克慶

Nexus AI 代表

Web制作・デザイン・マーケティング・コンサルティング等の経験を積み、日本 AIコミュニティ Nexus AIを立ち上げる。AIを実際に活用して、コミュニティ運営に大いに役立てている。

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